屋根の漆喰が剥がれる原因を知れば無意味な修理をしないで済む。正しい対処法とは。

石川 潤
石川 潤
  • 今年は台風のアタリ年。こんなに被害が出てるのに「アタリ」なのかははなはだギモン。屋根のトラブルも大変多いです。その一つが漆喰の剥がれです。石やコンクリみたいな塊が屋根の上に乗っかっていたり地面に転がっていたりしませんか。それは剥がれ落ちた漆喰です。漆喰の役割と剥がれる原因、対処法についてご紹介いたします。

漆喰の役割は主に葺き土を守るのと見た目をきれいに見せること。

漆喰が主として使われる場所は棟部分。葺き土を守っている。

屋根のてっぺん部分には瓦が何段か積まれている部分があります。

屋根の平面部分を合わせ目、三角形の上の頂点部分です。

これを「棟」と言います。

棟

何段かに積まれた板状の瓦を「熨斗瓦」と言います。

この棟は屋根の合わせ目を塞いで平面側に水を流す役割をしています。

棟部分は熨斗瓦を何段も積んでいますが瓦と瓦を絶妙な角度に調整して排水機能をもたせつつズレないように重ねるために土が間に使用されています。

この土を「葺き土」とか「棟土」とか言います。

葺き土を土台にして棟は積まれているのです。

土台は葺き土

 

 

棟の下部は直線になっていて、屋根平面は波状の瓦が並ぶため境目に隙間ができてしまします。

棟の下の隙間

このままだと雨水が葺き土に当たってしまい、次第に土が流れ出て棟に積んだ瓦がズレたり崩れやすくなります。

そこで漆喰を葺き土の外側に塗り、葺き土に雨が当たるのを防いでいます。

また、棟に積まれた熨斗瓦の表面を流れる雨水は最下段の熨斗瓦の裏側にまわり込みますが、この巻き込み水の浸入も防いでいます。

巻き込み水

 

棟の防水機能は棟の構造で成り立っている。

とはいっても実はこの漆喰に強力な防水効果があるわけではありません。

漆喰は水をはじきませんし、それどころかむしろ湿気を吸う機能があったりします。

漆喰は昔から壁などによく使用されていますが、あくまで土壁と比べるとはるかに防水性が高いからであり、より期待されたのはその高い防火性能です。

棟の部分の防水は基本的に棟自体の構造で行っています。

棟は屋根の平面部分にあわせ、絶妙な角度と重ね幅を調整しています。

葺き土の量もあわせて調整され、その外側に塗る漆喰もまた塗る厚さと位置が調整されています。

そうすることで棟に当たる雨水を中に入れずに屋根の表面に流すという水の流れを作り出しています。

 

漆喰は棟の瓦をがっちり支えている訳ではない。

他にも漆喰には接着効果もあります。

漆喰自体を壁などに定着させるためにそもそも糊が混ぜられているため瓦を固定する機能もあります。

しかし棟の葺き土の表面の漆喰は比較的薄く塗られているので、棟自体をがっちり支えているというものではありません。

漆喰は厚くない

近年では特にガイドライン工法に見られるように瓦は釘や針金がしっかりと屋根に固定されているため、伝統的な意匠としてあしらわれたり瓦の目地の隙間を埋める意味合いが強いです。

隙間をきれいに埋めて水の浸入を防ぎつつ棟と屋根をきれいに見せるということです。

漆喰自体を長持ちされるためでもありますが、表面を丁寧に滑らかに仕上げられた漆喰は瓦の色との対比でとても美しく見えます。

 

漆喰がぼろぼろと崩れるのは、漆喰自体の劣化と棟と葺き土の劣化が原因

では漆喰はなぜ崩れるのでしょうか。

漆喰はもともと多少の調湿性があり、水分を吸収したり放出したりしていますが、施工後長い時間を掛けて徐々に硬くなっていきます。

葺き土の外に漆喰を塗るという二重構造のため境目があり、年月が経過すると葺き土と漆喰の間に隙間があいてくることがあります。

屋根に塗られた漆喰は長く風雨と温度変化にさらされていますし、ときには台風などの強風や地震によって建物、屋根、瓦が揺れ動いたりして、漆喰自体が次第に劣化したり割れたりします。

こうして漆喰が弱くなってきたときに、強風や小さな地震によって棟や葺き土がわずかに潰れ動くことで漆喰を押し剥がします。

また、棟が動くことで絶妙に調整されていた排水性能が下がって棟内部に水が入り、その水分が中から漆喰を押して剥がすこともあります。

 

漆喰が剥がれてきた場合はどう対処すべきか。

漆喰が剥がれてもすぐには問題ない。

コンクリみたいな塊が剥がれているのを見るとこのまま屋根が崩れてしまうんじゃないかと心配になる方もいらっしゃるかと思います。

劣化した漆喰は、強風や地震を機にぽろぽろと落ちますが、前述のように漆喰自体が棟をがっちり支えているというものではなく漆喰はあくまでも葺き土に直接水が当たるのと水の巻き込みを防ぐためものです。

したがって葺き土がしっかりとしている限り、ただちに棟が崩れることはありません。

また表面の屋根材の下、屋根そのものに防水シートが貼られているので、この防水シートが劣化していない限りただちに雨漏りするというわけでもありません。

この防水シートは「ルーフィング」とも言います。

基本的に屋根には、外から見える屋根材と防水シートの二重の防水装置があるのです。

従って慌てて何か工事しなくても大丈夫です。

ゆっくりどう対処するか考えましょう。

 

漆喰が剥がれた場合には棟自体に問題があることが多く、不用意に漆喰を塗るとかえって良くない。

漆喰が剥がれた場合によくありがちなのが漆喰を塗り直すということです。

ただ、漆喰が何カ所もはげ落ちている場合、前述のように棟やその中の葺き土が劣化して動いていたり、棟の排水機能が正しく機能していない場合があります。

このような状態にもかかわらず漆喰だけを塗り直すのはあまり意味がありません。

棟や葺き土が劣化していた場合には放置していてはいずれ棟自体が崩れてしまう危険があります。

排水機能が機能していない場合には漆喰を塗り直して蓋をしてしまうことで、漆喰を押し剥がすくらいの水が内部のどこかに流れて雨漏りを起こす危険があります。

 

水はどこへ

漆喰が剥がれた原因となる棟の異常を直さないまま漆喰を塗り直すと、ぱっと見がきれいになったせいでこのような棟の崩れや雨漏りの危険に気づくのが遅れてしまうこともあります。

それに剥がれた原因が残ったままなので、塗り直した漆喰が再び剥がれてきてしまい工事も無駄になりかねません。

つまり漆喰を修理するときには漆喰が剥がれた原因も除去しなければならないのです。

さらに、前述のように漆喰は棟の排水と水の巻き込みを防止するために厚さと位置を調整してあるので、これを考慮せずにただ塗り直したり厚塗りしたりすると上の瓦は問題なくても排水がうまくいかくなったり、かえって水を呼び込んでしまうということもあります。

したがって漆喰ぐらい誰でも塗れてすぐ終わりにできそうにも思えますが、屋根修理の専門家に判断を任せるべきです。

 

棟の構造も進化し耐震性と防水性も上がっている。必要なら棟自体をやり直すのも。

昔ながらの瓦屋根ですが、阪神大震災以降は顕著に進化してきています。

棟も「ガイドライン」と呼ばれる工法の指針に沿った耐震棟工法で施工すると地震にも強くなります。

耐震棟工法

(屋根に棟をがっちり固定する支柱と鉄筋)

 

また、葺き土と漆喰の代わりに南蛮漆喰(「なんばん」や「シルガード」)を用いると防水性と耐久性があがります。

南蛮漆喰の場合これ一つで葺き土と漆喰の役割をできるので二重構造による剥離の問題がなくなりますし、防水剤が含まれているので葺き土や漆喰よりも水に強く仕上がります。

特に築30年を経過している場合には棟をやり直す方向で考えたほうがよいでしょう。

「棟の積み直し」とか「棟の取り直し」とか呼ばれる工事で、棟の土台や劣化した葺き土を新しくして元の瓦を積み戻すのです。

もちろん耐震工法で直しましょう。

危険を除去することで安心して暮らせます。

 

じっくり屋根工事の専門家を探して、納得してから依頼しましょう。

漆喰が剥がれているのは比較的目立つので、よく飛び込みの業者が工事しますよと訪ねてきたりします。

すぐに工事しないと危ない、雨漏りするなどと不安をあおるようなことを言う場合も少なくありません。

国民生活センターが繰り返し何度も注意喚起しているように、詐欺まがいの業者もいるので気をつけましょう。

屋根の修理、リフォームの際の工事業者とのトラブルはこの10年増え続けています。

じっくりと信頼できそうな屋根工事業者を探して、納得してから工事を頼みましょう。

 

詐欺まがいの訪問業者の見極めと、業者への対応方法についてはこちらに詳しく記載しています。

全国の瓦屋さんに怒られそうですが「瓦の漆喰(しっくい)塗り替え工事は不要です!」【屋根の押し売り事例集 第4回】

 

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Jun

【目標】今年中にダイエットを始める
【趣味】バラ栽培
【最近】台風の塩害なのか植物が結構やられました。
【一言】もう寒いんですけど。

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