この記事は、2018年10月14日に追記、2018年5月7日に公開されています。
本記事の目次
火災保険で、自然災害による屋根被害の修理ができます
あなたは火災保険で自然災害による屋根被害の修理ができることをご存知でしたか?
ほとんどの人が知らなかったと答えるでしょう。これ自体には何も問題はありません。保険加入者の当然の権利について知っているか知らないかだけの問題です。
ぼく個人としては、火災保険という名前が、火事の時にしか使えないというイメージがあるのではないかと思っていますが、今更、保険商品の名前が変わるはずもありません。
しかし問題は、台風や突風などで傷ついた屋根を修理できるということを、あまりにも多くの人が知らな過ぎることです。
すべての問題は、ここから始まっています。
雨漏りが火災保険で適用されるには?
雨漏りなどの修理が火災保険で適用されるケース
自然災害による屋根被害の修理で火災保険が適用されるのは主に「風災・雹(ひょう)災・雪災」の3つです。
雨漏りなどの原因がこれらの自然災害なのであれば火災保険で補償される場合があります。
その場合は、保険会社が現場調査などで被害状況を個別に確認をして適用か判断するので必ずしも全て補償されるとは限りませんので注意しましょう。
「風災・雹災・雪災」によって雨漏りの被害事例
被害事例 | |
風災(台風・竜巻など) | ・台風の強風で屋根材が飛ばされて雨漏りが発生した ・台風での飛来物で窓ガラスが割れて雨漏りが発生した ・台風で屋根の漆喰が崩れて雨漏りが発生した ・台風で雨どいが壊れて雨漏りが発生した |
雹(ひょう)災 | ・雹で窓ガラスや天窓が割れて雨漏りが発生した |
雪災 | ・雪の重みで雨どいが壊れて雨漏りが発生した ・雪の重みで屋根が壊れ雨漏りが発生した |
火災保険が適用される為の3つの条件
火災保険が適用される為の条件①:経年劣化ではなく事前災害であること
経年劣化などで雨漏りをした場合などは火災保険の適用外となるので注意が必要です。
自然と古くなった= 長い年月によって傷んだことを専門用語で、経年劣化(けいねんれっか)と言います。実は火災保険は、経年劣化は補償していません。ですから屋根のリフォームには使えないのです。
ところが、インターネットで検索すると、あたかも火災保険でリフォームできるような表現をしているホームページがたくさん出てくることでしょう。
塗装などのメンテナンスをせずに10年以上放置している場合は、経年劣化によるものと判断される場合があるので、万が一の時に火災保険が適用される為にもしっかりとメンテナンスをしておきましょう。
火災保険が適用される為の条件②:修理が必要になってから3年以内であること
自然災害で雨漏りの被害が起きた場合は、雨漏りが発生してから3年間と保険法によって定められています。
その為修理が必要となってから3年以内に保険金の申請をしなければいけません。
万が一保険金を請求しないまま雨漏りの修理を終えていたとしても、3年以内であれば火災保険で補償してもらえる可能性があるので、詳しくはご自身の加入している火災保険の保険会社に確認してみましょう。
火災保険が適用される為の条件③:修理の費用が20万円以上であること
最後の3つ目の条件は、修理費用が20万円以上ある事が条件となってきます。
損害金が20万円以上にならないと適用条件に当てはまらないのですが、屋根の修理の場合は足場を組んだりするので修理費用と合わせて20万円以上になるケースも多いです。
『火災保険でタダで屋根修理』を強調する業者との3つのトラブル事例
インターネットで検索して、タダで屋根リフォームできると説明しているところは、ウソの申請を保険会社にしている、保険金詐欺業者であると想像できます。
このような会社は、どのような手口でどのようなトラブルが起こるのでしょうか?
自己負担ゼロと言われたのに、保険適用外で全額自腹に
火災保険なら無料、火災保険ならタダ、火災保険なら自己負担ゼロ、まぁどれも同じですが、業者は自己負担ゼロをしつように強調してきます。
その口車にのって工事の契約をさせることが詐欺業者の手口です。
保険が出ようが出まいが業者との工事の契約は成立してしまっています。よって保険が出なければ、自腹で工事金額を支払うしかないのです。
つまり保険の査定結果が出る前に契約してしまって、トラブルが起こるのです。
保険適用外だから工事しないと言ったらキャンセル料が発生
自己負担ゼロという話術は変わりませんが、この場合は契約が成立してようがしてまいが関係ないという点ではとてもタチが悪いかもしれません。
普通は契約書をもってハンコを押したら契約成立にも関わらず、口約束したからキャンセル料は払ってもらわないと困ると言い張り、玄関で居座ったりするトラブルが発生しているのです。
「先日の突風のせいにしましょう」を承諾したら、詐欺に加担
業者に「古くなったところも先日の突風のせいにしてリフォームしちゃいましょう!」ともちかけられたら、あなたならどうしますか?
屋根にお金は掛けたくないけど、見た目が汚くなってるのは気になるし、、、と常日頃から思っているとついつい、誰も損しないし、まぁいっか! と思いたくもなる気持ちも分からなくはありません。
しかし、どのような行動を取るかで、その後の人生までも狂ってしまうかもしれないのです。
なぜなら、経年劣化は保証外と知っていたら保険金詐欺の共犯になってしまうからです。
もし知らずに誘いに乗ってしまった場合は、あなたは犯罪者にはなりません。でも、自分がいつの間にか犯罪に加担していたとしたら、きっと気分は良くないでしょう。
でもこの記事を読んでいるあなたが、誘いに乗ってしまえば自ずと共犯者になってしまいます。だってぼくが教えてしまってますからね。
そんな犯罪や詐欺が横行しているのに、なんで損害保険会社は放っておくの? と疑問に思うかもしれません。
弊社の問い合わせに寄せられた書き込み
(※2018年10月14日に追記)
この記事を公開後、弊社の問い合わせフォームに下記のようの書き込みが、匿名でありました。
真面目に火災保険を使って、少しでもお客様の負担を減らしたい!!
火災保険会社の丸儲けシステム(告知をしていない)も間違っているとおもうし、被災しているのに実費で直している現状、怒りさえ覚えます。
業者を責める前に、ため込むだけで、できるだけ、使えることも黙っておこうと、広報活動もしない、保険会社をせめた方が良心的やと思いますよ!!
真面目にやってる会社もいるんですよ!!
あなたの狭い価値観と知識だけで、全てが悪者扱いされるような案内やめてもらえますか?風評被害にあってます!!
確かに一軒家に住んでいるお客さまで、天災は火災保険で修理できることを知らないヒトが多いのは事実です。保険会社の告知の方法に問題があるのかもしれません。
ただ保険会社の告知の方法は、サービス品質の問題であり、個人の価値観によって判断は変わります。
対して、ウソや当てずっぽうの保険請求は確実な犯罪です。本当に風評被害なのでしょうか。
保険会社が積極的にサギ業者に対策できない3つの理由
その理由を解説する前に保険の仕組みをかんたんに復習しましょう。
保険は、保証している対象に何かあった時のために、予防として外部に積立を行っている行為です。積立という表現を使いましたが、実際には掛け捨て保険もあります。
しかし原因によっては保険の対象にならない場合もあります。この原因がなんであるか? に関しては、保険の規約に定められています。それが火災保険の場合は、自然災害は対象だけど、経年劣化は対象外、と明記されているという訳です。
そのため査定部なる部署で、自然災害なのか、経年劣化を見定めているのです。しかし、そこで1つ目の問題が発生します。
保険会社は自然災害と経年劣化の区別がつかない
査定部なる部署で、自然災害なのか、経年劣化を見定めているのですが、世の中の常識的なことであれば事例も多く、判断するのは比較的かんたんにできるのかもしれません。
しかし彼らは保険のプロであったとしても屋根のプロではありません。見えない屋根のこと、情報はあるけれど何が正しい情報なのかが分からない、という状態なのです。
過去の事例も少なく、情報の正確性が分からない屋根の火災保険請求に関しては、基本的には保険の請求者に自然災害だと言われれば、それを真に受けて、保険金を支払ってきたのが実態でした。
一軒家の屋根修理の金額は保険会社にとっては少額
それなら査定部の人たちが、屋根の勉強すれば良いじゃないの? という声が聞こえてきそうですね。しかしそこに人件費は避けないのです。
家の屋根の被害は、消費者である一軒家の住まい手には、とても大きな事件ですよね。20〜100万円にもなる修理が自腹なのか無料なのか、ですからね。ところが保険会社にとっては、100万円という金額はとても少額なのです。
というのも歴史的にみても保険は、物資を運ぶ船舶の積荷を保証するところからスタートしています。そこでは最低でも億単位のお金が動くのです。
保険会社も営利企業。100万円ごときに時間を避けられないのです。
保険金を支払わないという行為に積極的になれない
ここまでに少しオーバーな表現をしたので、まるで損害保険会社の悪口を言っているみたいに聞こえるかもしれません。
これはあくまでも、プロではないから細かいところまでは分からない、細かい部分を追求するくらいならアヤシイと思っても払っておこう、という傾向にあるという話を極端な言い方をしているだけです。
実際は保険会社はお客さまにとても優しい対応をしているのです。どちらかというと、多少のウソは目をつぶっている状態なのです。
それは、積極的に原因調査を行うという行為自体が非効率だからです。
社内では優先順位の低い案件であり、契約者である消費者から見ると、積極的に動くほど、支払いたくないから意図的に経年劣化だと言おう、という顧客満足度を下げるような行為に見えてしまうからです。
そこをうまくついてくるズル賢い業者がとても増加しています。
保険会社も無視できないほど、火災保険の詐欺請求が激増
実際に、10年くらい前から屋根修理の火災保険の申請が増加しはじめ、特にこの5年くらいで激増していることを損害保険会社の査定部の知り合いに聞きました。
1件あたりの額は少なくても、件数が増えて損害保険業界にとっても大きな事件になっているそうです。
そこで損害保険会社は会社の垣根を超えた活動として、損害保険会社全社が加盟している『一般社団法人 日本損害保険協会』と、消費者センターの親組織である『独立行政法人 国民生活センター』と協力して、このようなチラシを作成し、消費者に注意喚起をしています。
上で紹介した3つのトラブル事例もチラシの表面から引用しました。
ここでは裏面のトラブル相談の実態を紹介します。
トラブル相談は2010年の9倍
訪問による勧誘が80%
60歳以上の高齢者からの相談が70%
「保険金が使える」という住宅修理のトラブルが、あなたの身近でも確かに増えているようですね。注意しましょう。
2018年10月11日、テレビ東京『ゆうがたサテライト』でも、台風21号や24号後の屋根修理のトラブルの注意喚起がされていました。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/you/news/post_164196
詐欺請求でブラックリスト入りしている社団法人も
最近増えている、屋根修理の火災保険の申請代行業者。ぼくが少し前に潜入した、フランチャイズ加入者向けセミナーを実施していた社団法人は、保険会社の鑑定のヒト達のブラックリストに入っているようです。
社団法人のセミナーの詳細はこちらで確認できます。
彼らを通じた保険申請は、審査が厳しくなるようです。
申請は自分でかんたんにできる
こういった屋根修理の火災保険の申請代行業者に頼らなくても、実は自分でカンタンに申請できます。
自分での申請は、こちらの記事の通りにすすめれば、円滑に行うことができます。
ぼくたち石川商店は、この社団法人のフランチャイズに加盟していないことだけは明記しておきます。
ただ、火災保険で自然災害による屋根被害の修理ができるのは事実です。
保険の契約者として当然の権利を主張するにあたって、どんな業者に相談したら良いのかの判断に困ったら、お気軽にご相談くださいね。
- 創業75年、屋根専門石川商店の三代目。石川弘樹(いしかわひろき)です。
- 【肩書】
- 東京都瓦工事職能組合 震災対策委員長、日本屋根ドローン協会代表理事
- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
- 【趣味】
- ワンピース(マンガ)
- 【目標】
- 2級建築士、瓦割り世界大会初代チャンピオン
- 【ブーム】
- ブラッククローバー
- 【困り事】
- 平均睡眠時間9時間
屋根で損する人をゼロにしたい、屋根屋の三代目です。
石川商店からのお願い
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